Top Page>My Profile>パソコン活用実践の過去・現在・未来>仙台コンピュータ研究会レポート」

リンク元へ戻ります




『仙台コンピュータ研究会レポート』

2000年1月


 肝心のどちらに掲載されたのかを忘れてしまいました。某出版社の某編集長から依頼され、日下先生の勤務先「仙台一中」へ出向いて、お話しを伺ったり、資料をいただいたりしながら作成したレポートです。





                   会  長 木村 巌(仙台市立第一中学校校長)
                   事務局長 日下 孝(仙台市立第一中学校教諭)


1. 研究会の概要と特色

 仙台市は昭和63年3月1日,隣接の泉市,秋保町を編入合併し,人口88万人の「大仙台市」として誕生した。64年4月には東北地方では初めての政令都市移行を目指しており,各方面で仙台市の果たすべきリーダーシップがさらにクローズアップされようとしている。特に,地元東北大学をはじめとする基礎研究機関の充実を受けて,仙台市を東北地方の先端技術産業の拠点として展開していこうという東北インテリジェントコスモス構想は,日ごとに具体化してきている。仙台市の基本政策の中にも,高度ネットワーク時代に向けての,いわゆる市民の「意識革命」を掲げている。このようなハイテク化の動きに対応すべく,仙台市教委でも教育の情報化,国際化の進展を意識した大規模なCAI導入の動きに対して,積極的な対応を示してきている。なかでも仙台市立第一中学校に一昨年導入されたPC−9801VM2(46台)のLANシステム(newPC−Semi)による実践研究,また昨年暮れから始まった仙台市内の全中学校をネットワークで結んだパソコン通信化の試みは,全国的にも広く注目されている。

 以上のような行政サイドの対応とあわせて,見逃すことのできないのが,「仙台コンピュータ研究会の存在である。当研究会は仙台市内の中学校の先生方が中心となって,コンピュータの教育利用を考えあっていく,私的で任意の研究会として5年前の昭和58年に発足したものである。そして,CAI・CMIソフトの開発や研究,校内LANシステムやパソコン通信による学校間ネットワークの研究をはじめとして,進取の気概を感じさせる積極的な研究会活動を行ってきている。

 そこで今回は,特に注目を集めているこれらの取り組みに焦点をあて,当研究会の事務局となっている仙台市立第一中学校の日下孝先生に主な活動についてその概要や今後の展望について伺った。
 当研究会は,プログラム言語の学習やソフトウェアの開発や研究・利用法を考えることを目的としてコンピュータに関心のある宮城県下の小・中学校の教師が私的に集まって作られた。
 5年前の昭和58年発足当初は19名であった会員は,2年前39名,現在は90余名の大所帯となってきている。事務局は仙台市立第一中学校で,会長の要職は同校校長に依頼している。例会は原則として2か月に一度で,本年度は6回実施している。各回の例会では,(付属資料−第*回研究会の案内状に示すように)初心者・中級者・上級者の各先生方に対応できるような分科会形式を取り入れるようにしているとのことである。今年度は例会の案内や実施記録をパソコン通信に掲示し,参加できなかった会員にもその状況を知らせる試みを行ってきている。また,事務局では例会時にあわせて,ハードやソフトのメーカーの開発担当者に講演をお願いしている。

 このことにより,会員が最も新しい情報に直接ふれられるような配慮も忘れないなど,研究会活動を支える事務局の気配りが随所に感じられる。
(付属資料−第*回研究会の案内状を参照してください)


2. 研究会の主な活動内容について

 今年度の例会で数多く研究協議され,会員の関心を集めたのがCATと,パソコン通信
である。

(1) CAT(Computer Assisted Teaching)
 学校教育においてCAI(Computer Assisted Instruction )を行う場合,問題になるのはソフトウェアである。現在市販されている教材は、ほとんどが学習塾によって開発されたものであり、教育の現場では使用に耐えるものではない。学習教材は、現場の教員が作るのが理想であるが、プログラム言語を使用しての開発は時間的な問題や技術的な問題で現実的ではない。
 したがって、教材作成ソフトを使用して教材開発を行っていくのだが、次のような問題が発生している。
 ・使い勝手が良くない
 ・特殊な装置を必要とする(タブレットなど)
 ・他の機種との互換性がない
 ・短期間でサポートが止まってしまう
 ・コピーが取れない
 ・著作権がある(教材実行システム)ため他校に使用してもらうなどの、流通ができない。
 そこで、開発された教材開発システムがCATである。開発は、東北学院大学の岩本先生によって行われた。特徴として次のようなことがあげられる。
 ・市販のワープロを用いて教材開発ができる
 ・コースの流れを簡単に変えることができる
 ・使用権を主張しない(PDS)
 ・文字入力が簡単
 ・他の機種との互換が取れる(NEC、富士通は確認済み)

 仙台市立第一中学校ではこのシステムを使用して、今年3本の教材を開発した。
  (1年理科「浮力」、2年数学「関数」、特殊数学「買物」:写真参照)
 この教材は、第4回例会において校内LANシステムにのる形で紹介され、会員の関心を引いた。同時に、授業の中でどの様に教材ソフトを使っていくかについても検討を行った。

付属資料として本テキストファイルを納めたディスクにCATをお送りしますので,適当な画面の写真を撮影してください。 

(2) パソコン通信
 地域に根ざしたワープロ・パソコン通信事業を行う「コミネット仙台」が第三セクターとして設立されたのは61年12月,コミネットネットワークサービス(CNS)の提供が始まったのは62年7月とのことである。CNSには教育関係のフォーラムが公開されており,設立以来自由で活発なコミニュケーションが行われてきている。しかし,それ以上に注目すべきところは,仙台市教委が中心となって運用を開始した市内全学校間をつなぐ教育ネットワーク,SENSの試みである。SENSとはSENDAI・EDUCATIONAL・NETWAORK・SERVICEの略称で,ちょうどPC−VANのC.U.G機能に相当する非公開のコーナーとして設置された。

 始まったばかりの現在は,まだボードへの書き込みも少なく,市内中学校のバスケットボール試合結果の速報など身近な情報の提供といったところとのことである。しかし,今回の取材で,掲示内容を見せていただいたところ,科学館よりのお知らせとして,3月18日に迫った仙台地方の日食観測の基礎資料や観察中の事故防止上の留意点が分かりやすい事例を添えて示されていた。この情報を知らないで,直接こどもたちに指導するのと,あらかじめ知っているのとでは,指導の際の心構えはだいぶ違ってくる。このように,科学館や博物館から提供された地域に密着した教材・資料を,ニーズに合わせて取り入れたり,交換することによって,広くネットワーク間内学校の教育の質的向上を図ることも大きく期待できる。将来は,仙台市天文台などへもネットワークの輪を広げ,幅の広い情報交換を行っていく予定とのことであるが,大規模な市内学校間ネットワークは全国最初の試みだけに,今後のSENSの成果は大いに期待される。
 なお,当研究会のメンバーは必ずしも仙台市立学校の教員とは限らないため,市外の学校の会員は,従来からのCNSの教育フォーラムに,市内校の会員はCNSとSENSを併用してという2本立ての運用になっている。SENSを活用できる会員と,できない会員間に,なんらかの情報格差が生じてくる懸念もあるが,試みの展開次第では,小・中・高校を含めた,より大きなネットワーク化も検討されているとのことであり,今後の展開がますます気がかりなところである.

 一方,東北大学の宮崎教授のグループがキー局をつとめるアマチュア無線のネットワークも,当大学のみならず仙台市教委や宮城県教委からも参加してその運用方法の検討が進められている。当研究会からも,事務局の日下教諭はじめ数名の教師が要請を受けて検討会に参加しているが,大規模な無線ネットワークであるだけに今後の進展には目を離せない。


3. 今後の展望
 以上,当研究会の活動には,「新しい試みには意欲的に挑戦してみよう。そして良ければ採用して推進していこう」といった気概が感じられる。90数余名に広がった量的・質的なパワーも着実に蓄積されてきている。
 そこで,今後の展望に焦点を当て,再び事務局の日下孝教諭にうかがったところ,来年度での試みとして,次の2点が示された。

 1 現在のCAI教材は,仙台市立第一中学校の校内研究としてコンピュータ委員会の中のプロジェクトチームが開発を行っているが,研究会としても教材開発を推進していきたい。
 2 会員数の増大に伴って,隔月1回の例会に参加できない会員も増えてきている。今年度は例会の案内や実施記録をパソコン通信に掲示し,参加できなかった会員にもその状況を知らせる試みを行ってきたが,来年度は会報誌を発行し,一層密なコミュニケーションを図っていきたい。

 最後に研究会を推進してきた日下先生の私見として次の提言を紹介し,本報告のまとめとしたい。

「教材ソフトの開発には膨大な手間と時間がかかるので、開発した学校のみの使用ではむだが多い。したがって、この研究会で開発,紹介した教材ソフトは会員を通じて全県に流通・普及を推進していきたいと考えている。また,このことが、より良質な教材ソフトの開発につながって行くものと考えている。」







リンク元へ戻ります